先日放送されたNHK BS3「にっぽん縦断こころ旅」を観て泣いてしまった。
現在、こころ旅の通常放送は9月26日からの2016年秋の旅までお休みなので、過去の旅を再放送している。
9月10日はディレクターズカット版の放送。
番組担当ディレクターが過去の旅からチョイスした名作を45分の拡大版で放送してくれた。
この9月10日に放送された「2012年春の旅 132日目 北海道別海町 野付半島」は本当に素晴らしかった。
今まで観た中でベスト。
2012年頃は、僕は放送を見てなかったので、このディレクターズカット版で初めて観ることになった。
お便りが切ない。(ネタバレ注意)
埼玉県にお住まいの成川円さんのこころの風景は、7年前に当時5歳の息子さんと訪れた野付半島です。
野付半島の入り口から先端「トドワラ」まで約15キロの道のりを自転車に乗った息子さんの伴走でランニングしたという成川さん、ゴールした時の息子さんの満足そうな顔が忘れられないそうです。
しかし手紙には、「その息子は昨年、天国へ旅立ちました」と書かれていました・・・
大切な思い出の場所を正平さんに訪ねてもらえたら・・・。
冒頭、正平さんが読むお手紙の内容を聞いて、もうウルウル。
収録は雨で1日延期となり尾岱沼からスタート。
いつものような冗談を言わずに、北海道の大自然に囲まれた道を自転車で黙々と走る正平さん。
お便りをくれた方の気持ちが、正平さんやスタッフ全員に伝わっているよう。
向かい風にも愚痴を言わず無心に目的地までペダルを漕ぐ。
野付半島の付け根当たり、正平さんは休憩に寄った野原で花を摘む。子供に手向けるためのものだ。
余計な演出も説明も感動的な音楽もない。でも気持ちが伝わってくる。
霧深い野付半島の一本道を走り続ける一行。
野付半島ネイチャーセンターで自転車を降り、幻想的な風景のトドワラ(立ち枯れたトドマツ林の跡)まで徒歩で向かう。
終わりのお便りを読んだ遊歩道の脇にはさっき摘んだ野花が供えられていた。
この番組は手紙の内容でその回の印象が決まる。
風景だけが素晴らしいのではなくて、その風景に込められただれかの想いが観る人の心を震わす。
この放送を見れば、興ざめする演出ばかりの巷の番組がいかに薄っぺらいものかわかるはずだ。
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